JCE Japan Civil Engineering Contractors Association, Inc. 社団法人 日本土木工業協会
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CE/建設業界
 
CE建設業界 2003年9月号 CE建設業界
 

<Contents>

 
対談
日本の土木を歩く
金口木舌
建設の歴史散歩
雑記帖
フォトエッセイ
プロジェクト・ナウ
ダム風土記
今月の表紙
目次
   
プロジェクト・ナウ  
 小丸川発電所建設工事
 
碇 謙三(Ikari Kenzou) 奥村・佐藤・大豊・淺沼共同企業体所長
写真 西山芳一(Nishiyama Hoichi)  

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 小丸川揚水式発電所は着実に増加する電力需要に対し電力の長期的安定供給を確保するため、九州電力(株)が武者小路実篤創設の「新しき村」のある宮崎県児湯郡木城町に建設している環境に優しい最大出力一二〇万キロワットの九州最大の水力発電所です。

 工事場所は一部が尾鈴県立自然公園に含まれており、レッドデータブック(野生生物絶滅危惧種)の対象動物であるクマタカの生息も確認されている自然環境の豊かな地域であることから、工事施工にあたっては自然環境の保全をスローガンの一つとして工事を進めています。

 本建設工事は一工区(上部ダム)、二工区(水圧管路)、三工区(発電所)、四工区(放水路)、五工区(下部ダム)、六工区(骨材製造)と六つの工区に分割されています。

 当工区(二工区)は上部ダムに溜めた水を発電所に送るための水圧管路の築造工事を担当しています。

 今回採用された急勾配斜坑の管路掘削工法はTBM(トンネルボーリングマシン)による国内では二例目の非常に珍しいパイロット(導坑)、リーミング(拡幅坑)工法です。トンネル縦断勾配四八度、延長八九〇メートルを並列二条、TBMにより掘削する長大斜坑工事です。

 パイロット坑は下部から上部へ直径二・七メートルのTBMにより、リーミング坑は上部から下部へ直径六・一メートルのTBMにより掘削し水圧管路を築造します。

 平成十二年に工事用道路トンネル工事に着工し主要工種である斜坑工事は十四年一月に二条のうち先行管路のパイロットTBMを発進しました。発進して間もなく破砕帯に遭遇しましたが岩盤補強工事を実施しながら坑壁を安定化して十四年十月に上部に到達しました。現在、パイロット掘削を完了しリーミングの掘進中です。

 後行管路はパイロットTBMを十五年二月に発進し上部に向かって掘進中です。

 四八度の急勾配の斜坑であるので特に安全については関係者と十分な協議を行い、災害防止対策を立案しました。TBMの自重が一五〇トン(パイロット)と非常に重いため、滑落防止対策は事前に実証実験を行いインバートライナーという新工法を開発し採用しました。また、急勾配斜面での作業であり転落墜落、飛来落下といった危険要因が常につきまとうため、安全管理には特に留意して工事を進めています。工事進捗率は四四%(十五年七月)です。

 工事の最盛期を迎え、また、他工区との工程調整もあり多忙な毎日ではありますが、「自然と地域の共生をめざして」をスローガンとして、平成十九年七月の運開に向けて現場一丸となって取り組んでいきます。


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[写真家の眼]
西山芳一(Nishiyama Hoichi)

 「九州の山は脆くて、水を溜められない」と所長に聞いた。ようやく梅雨の明けた宮崎県だったが、やはり斜坑の切羽では雨のように滴る水に悩んだ撮影だった。

 この現場撮影をスケジュールの最後に予定した九州ロケだったが、とにかく雨に悩まされた。というより命がけだった。あの九州西部を襲った豪雨の中、河川公園の駐車場で車中泊をしていたのである(無論、河川敷でなく周囲よりは高台を選び、その時、雨はやんでいた)。夜明け、雷鳴とともに想像を絶する豪雨で目覚めた私の眼前には、土石流といっていいほどの溢れんばかりの川の流れ。崩れると思って移動するが、途中の道路はすでに濁流に洗われていた。意を決して四輪駆動にシフトし、渡河してなんとか役場までたどり着いた。直近で土砂崩れによる行方不明者も出たようだ。私は整備された河川公園にいたから流されずに済んだのだろう。自然の脅威と土木の必要性をまざまざと感じた。
 
   
 
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