| 文 |
伊東 孝(Ito Takashi) |
日本大学理工学部社会交通工学科・教授 |
| 写真 |
西山芳一(Nishiyama
Hoichi) |
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幸口ダム
上流側からみる幸口ダム 石張りは下流堤体面にみられるが、樹木が繁茂して、下流側からの撮影は困難である。大正十五年二月に竣工した県内最初の水道専用ダムだが、平成七年に廃止された。重力式石張りコンクリートダム、堤高二十・六m、堤長五十二・五m。
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幸口(こうぐち)ダムについて、かねてから聞いてはいたが、一昨年、たまたま現地を訪れる機会にめぐまれた。愛媛県で平成十三年から近代化遺産調査が開始されたとき、お手伝いをすることになったからだ。現地へ行くとき、ひとつの期待があった。それは、ダムの年代からすると、石張りダムではないかという期待である。石張りダムは、コンクリートの打ち放しと比べ、表情が豊かで、味わい深いものがある。
幸口ダムは、ロケーションもよかった。JR予讃線のカルバートをくぐると、そこは「千と千尋」の世界で、山と谷が迫り、蔓や雑草を鎌で切り拓きながら道を進まねばならない。十五分ぐらい山道を登っただろうか、木々の間から石積みの大きな壁がみえた。これが、幸口ダムの遺構だった。現在は使われていないので、ダムにはツタが繁り、小さな木々や草も生えている。わたしが訪れたときは水が涸れていたが、写真にみるように水をたたえるときもあるようだ。
(取材地 ・愛媛県)
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