今回の地震による盛り土のり面の崩落は、東名吉田インターチェンジ(IC)~相良牧之原ICの牧之原サービスエリア(SA)に近い上り線191.6KP(キロポスト)付近で発生した。盛り土のり面が車線の路肩を含めて延長約40m、高さ10mにわたり崩落。この崩落で高速道路の利用者や周辺住民に被害が及ばなかったことは幸いしたが、開通から半世紀の歴史を持つ東名高速道路が地震でこれほどの被害を受けたことはなく、通行止めで直接に影響を受けた車両は、2008年の実績から約47万台に上ったと推定される。 東名高速道路は、計測震度4.5以上の揺れが計測されると、自動的に通行止めの措置が講じられる。昨年8月11日の地震では、菊川ICや吉田IC、焼津IC、静岡ICなどで計測震度がこの基準を上回ったため、東京IC~豊川ICが順次通行止めとなった。NEXCO中日本は同日午前9時から午後1時30分にかけて、点検作業で安全が確認された区間から通行止めを解除。同時に、のり面の崩落個所を応急復旧するための準備を急いだ。 現地ではまず、崩落状況を調べた上で、車線上から崩落したのり面に土留めのH鋼(長さ30m)を1m間隔で打ち込み、崩落部分を土で埋め戻していくという工法で応急復旧に当たることが決められた。直ちに作業員と資機材を手配し、その日の午後に応急復旧工事はスタートしたが、のり面が予想以上に不安定であり、車線上からH鋼を打ち込む重機が路肩に近寄れないことが判明。このため計画を変更し、上り線の走行車線部にも長さ10mのH鋼を1m間隔で打ち込み、これらを足場にして応急復旧工事を実施することにした。さらに、舗装路面にひび割れが生じていた下り線の安全性を供用後も確保するため、中央分離帯に鋼矢板を打設することになった。 だが、中央分離帯の近くに鋼矢板を設置する作業に入ったものの、その間にものり面の崩落が進行。二次災害の危険性が高まったため、のり面の上からH鋼を打ち込んで復旧していくのは、安全性の面から難しいとの判断に至った。