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2010年2月号
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2009・08・11
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 【特集・レポート】
 2009・08・11
 駿河湾震源地震 のり面崩落被害!
 
-東名高速道路の応急復旧に建設各社が貢献-
 
 
横川貢雄(Yokokawa Tsuguo) 日刊建設工業新聞社・編集局編集部長

2009年8月11日午前5時すぎ、駿河湾を震源とするマグニチュード6.5の強い地震が発生し、静岡県伊豆市、焼津市、牧之原市、御前崎市で最大震度6弱を記録した。
この地震により、交通の大動脈である東名高速道路は盛り土のり面が崩落し、5日間にわたって通行止めになるという大規模な被害に見舞われた。
交通量が多いお盆の帰省時期と重なったため、通行止めをできるだけ早く解除することが求められ、現地では夜を徹した応急復旧工事が続けられた。

半世紀の歴史で初めての大規模地震被害
地震発生から115時間で通行止めを解除
NEXCO中日本が感謝状を贈呈
新たな災害時協力体制の検討へ
   



東名高速道路の応急復旧後、牧之原地区(静岡県)の被害現場を取材に訪れたのは昨年10月下旬。中日本高速道路株式会社(NEXCO中日本)の「東名高速道路牧之原地区地震災害検討委員会」(委員長・太田秀樹中央大学研究開発機構教授)が災害原因などに関する最終報告をまとめる4日前であり、現地では近く本格化する本復旧対策工事に備えた作業などが行われていた。

つい2か月ほど前、地震発生から通行再開までの5日間に延べ1千人以上の技術者や作業員がここで応急復旧に当たったとは思えないほどの静けさだったが、のり面を覆っていたはずの木々はなく、大型土のうなどが積み重ねられた現場を見ると、いかに大きな地震被害であったかをあらためて認識させられた。

 半世紀の歴史で初めての大規模地震被害

今回の地震による盛り土のり面の崩落は、東名吉田インターチェンジ(IC)~相良牧之原ICの牧之原サービスエリア(SA)に近い上り線191.6KP(キロポスト)付近で発生した。盛り土のり面が車線の路肩を含めて延長約40m、高さ10mにわたり崩落。この崩落で高速道路の利用者や周辺住民に被害が及ばなかったことは幸いしたが、開通から半世紀の歴史を持つ東名高速道路が地震でこれほどの被害を受けたことはなく、通行止めで直接に影響を受けた車両は、2008年の実績から約47万台に上ったと推定される。

東名高速道路は、計測震度4.5以上の揺れが計測されると、自動的に通行止めの措置が講じられる。昨年8月11日の地震では、菊川ICや吉田IC、焼津IC、静岡ICなどで計測震度がこの基準を上回ったため、東京IC~豊川ICが順次通行止めとなった。NEXCO中日本は同日午前9時から午後1時30分にかけて、点検作業で安全が確認された区間から通行止めを解除。同時に、のり面の崩落個所を応急復旧するための準備を急いだ。

現地ではまず、崩落状況を調べた上で、車線上から崩落したのり面に土留めのH鋼(長さ30m)を1m間隔で打ち込み、崩落部分を土で埋め戻していくという工法で応急復旧に当たることが決められた。直ちに作業員と資機材を手配し、その日の午後に応急復旧工事はスタートしたが、のり面が予想以上に不安定であり、車線上からH鋼を打ち込む重機が路肩に近寄れないことが判明。このため計画を変更し、上り線の走行車線部にも長さ10mのH鋼を1m間隔で打ち込み、これらを足場にして応急復旧工事を実施することにした。さらに、舗装路面にひび割れが生じていた下り線の安全性を供用後も確保するため、中央分離帯に鋼矢板を打設することになった。

だが、中央分離帯の近くに鋼矢板を設置する作業に入ったものの、その間にものり面の崩落が進行。二次災害の危険性が高まったため、のり面の上からH鋼を打ち込んで復旧していくのは、安全性の面から難しいとの判断に至った。

被災状況(2009年8月、提供:NEXCO中日本)
応急復旧後の状況(2009年8月、提供:NEXCO中日本)

 

 地震発生から115時間で通行止めを解除

崩落したのり面でのセメント安定処理
(2009年8月、提供:NEXCO中日本)
翌12日午後、緊急の応援要請を受けて新東名高速道路建設工事の現場事務所から駆け付けていた大林組、清水建設、大豊建設、東洋建設の技術者らが、静岡ICに隣接するNEXCO中日本東京支社静岡保全・サービスセンター(静岡市)の会議室に集められた。NEXCO中日本の技術陣とともにどのような工法であれば安全に早期復旧を実現できるのかについて検討するためで、技術者たちの話し合いは約2時間にわたり続けられたという。

この場で検討された成果を受けて、NEXCO中日本はのり尻(のり面の最下部)に57本のH鋼(長さ7m)を打ち込んでのり面を安定させるとともに、大型土のうの設置や上部盛り土材のセメント安定処理によって盛り土量を少なくし、工程の短縮も図る工法へと変更。さらに、盛り土構造をより安定させるため、のり尻に押さえコンクリートを打設することとし、14日昼すぎから生コンやコンクリートポンプ車などの手配が進められた。

しかし、応急復旧工法の変更はこれにとどまらなかった。のり尻に打設する生コンの準備を終えた14日午後、今度は盛り土材として大型発泡スチロールブロック(EPS)を使用することが決定されたのだ。土に比べて軽量のEPSを盛り土材として利用することは、12日午後の打ち合わせでも効果的な工法の一つに提案されていた。ただ、受注生産品のEPSを工場が休みの期間に、しかも短時間に調達するのは難しいことから、応急復旧工法としてすぐに採用されることはなかった。だが、その後もEPSの手配を続け、滋賀県内の工場で調達できることが分かったため、応急復旧に利用することが急きょ決められた。

本復旧工事を控えた被災現場
(2009年10月、撮影:日刊建設工業新聞社)
東名高速道路は13日までに下り線の供用が再開されていたものの、14日の時点で上り線の袋井IC~焼津IC間が依然として通行止めになっていた。こういった影響もあり、トレーラーに積んだEPSの現地搬入は同日午後9時の予定から大きく遅れたが、何とか関係者の協力を得ながら現地に搬入。

それから突貫工事が行われ、15日午後12時までに応急復旧を完了、最後まで不通だった区間の通行止め解除にこぎ着けた。

地震発生からすべての区間で通行止めが解除されるまでに要したのは115時間。通常であれば一か月近い工期を必要とする規模・内容の工事とされ、関係者たちがいかに必死の努力で早期の応急復旧を成し遂げたかが分かる。

 
   
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