| 浅上裕司
(Asakami Hiroshi) |
東急建設・ニャッタン橋建設プロジェクト
3工区ノースアプローチ工事作業所長 |
2010年のハノイ建都1000年を記念する事業であり、市の中心部と空港のある市北部を結ぶ新たな道路プロジェクトです。本邦技術活用型のODA案件であり、パッケージは3工区に分かれています。1工区はハノイ市旧市街の北側を東西に流れるホン川(紅河)にかかる6径間連続斜張橋を含む工区、2工区は南側のインターチェンジ、3工区は北側の国道五号線と接続するインターチェンジ、空港に向かう道路工事等で構成されています。空港まで本道路が延伸される予定であり、将来の交通大動脈の一部を構成するものです。
2009年4月にまず3工区が着工、起工式は日越友好のシンボルであることからグエン・シン・フン副首相、ホー・ギア・ズン交通運輸相、グエン・テー・タオ・ハノイ市人民委員会主席、坂場三男駐ベトナム大使らが出席する大規模なもので、ベトナム側の本プロジェクトに対する期待の大きさがうかがえました。
発注者はプロジェクトマネジメントユニット85、工事監理は長大・大日本コンサルタント・TEDIのJVが担当しています。
当社の受注した3工区は、約5kmの道路工事で、2か所のインターチェンジが含まれています。総幅員70mから80mの高規格道路で、短工期での大規模土工と長延長の下水道工、共同溝工が特徴です。主に農地を通過する線形ですが、約400m民地境界ぎりぎりで擁壁を構築する必要があります。また現場を縦横に走る灌漑用水路や農道の切り廻しを考慮しつつ工事を進めています。学校近傍でのサンドドレーン工他、地盤改良区間を多く有しています。PC橋梁が2か所あり、1つは場所打ち箱桁橋、もう一方は当地標準工法であるプレキャストスーパーT桁橋です。
まだ工事の初期段階ですが、目下の技術的課題は、土工材料・コンクリート骨材の確保やコンクリート二次製品の短期間での製造と品質確保です。また安全意識が一般的に低い場所柄ですが、安全担当専任者をおいて安全環境の改善に努めています。
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ビンノックIC完成予想パース
(提供:長大・大日本コンサルタント共同企業体) |
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ベトナムは一人当りの国民所得が2007年度統計で818ドルと未だ低い水準です。国全体が発展途上であることからインフラ整備プロジェクトが数多く、日本の対ベトナムODA供与規模も高い水準で推移しています。その効果もあってか近年急激に経済成長しています。他方、社会全体が著しく変化しており、さまざまな歪みが生じている様子もあります。
ベトナムはかつての戦争の影響か、働く世代が非常に若いという印象があります。本プロジェクトを統括する発注者のプロジェクトマネージャーは30代、職員もほとんどが20代です。業者やサプライヤーも若い人が多く、30代がビジネスを動かしているようです。
社会主義国であるからか、書類が重要で、大量の書類を日々作成しています。能率を考慮した提案もなかなか理解していただけない悩みがあります。
工程に対する考え方が異なり、軽視されているようにみえます。とにかく何事も決定やアクションに至るまで時間がかかるというのが偽らざる印象です。
海外工事の困難さが種々のメディアで伝えられています。確かに国内では考えられない困難に直面することも多々あり、個人への負担、プレッシャーは大きいかもしれません。しかしこれは考え方によっては大きなやりがいがある仕事とも言えます。建設プロジェクトにはリスクが付き物であり、いかにそのリスクを抑えるかという問題は国内、海外を問わず共通の課題ではないでしょうか。
海外プロジェクト運営では、常識が異なることを理解し、限られた資機材をもとにローカル性を加味しつつも求められる品質・工程を満足することを考えなければなりません。サブコンや作業員の能力の見極めも重要です。文書・契約管理の重要性を認識することも必要です。税務、法務、労務管理など、アドミニストレーションの役割も大きくなります。こうした仕事の経験は必ず将来参考になるときがくると思います。より多くの方が海外工事に関心を持たれることを期待します。
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