

東京都新都市建設公社の発注工事をめぐる独占禁止法違反の容疑で平成十二年九月と十三年二月に七十数社の営業所等の調査を進めていた公正取引委員会は十二月中旬、対象企業に対する処分を発表した。
その内容は調査を受けた企業のうちの三四社に対して総額約七億円の課徴金の納付命令であった。
建設業が独禁法違反で課徴金の納付命令を受けたケースはあるが、今回はその後の対応でこれまでとは異なった動きがみられた。
その一つは、課徴金納付命令を受けた企業が公取委の処分を不服として、審判手続きをとったこと、もう一つは国土交通省を始めとした多くの公共工事発注機関が指名停止措置の発動を審判終了後に先送りしたことである。
建設業の行動が独禁法違反に当たるとして排除勧告や課徴金の納付命令を公取委から受けた事例は、これまで数多くあるが、その処分を不服として審判で争ったケースは皆無に近い。
ところが、今回は納付命令を受けた各社は、これを拒絶し審判に持ちこんだ。各社が処分を不服とした理由の詳細は明らかにされていないが、どこかに公取委の認定を容認できない点があるのだろう。
従来から公共工事における予定価格制のもとでの独禁法適用について、一度裁判で争ってみる必要があるのではないかという意見もあったが、裁判等で争うことはなかった。今回の審判でこうしたことが争点になるとは考えられないが,少なくとも今回の処分に疑義があるのであれば、審判で争うことは大切なことである。争わないで処分を受け入れれば、それが一つの判例になるわけだから、今後に及ぼす影響も大きくなる。このため、建設業界として審判の場で主張を述べることになったことは意義のあることと言えよう。
一方、審判手続きをとったことで、国土交通省は指名停止措置の発動を審判の結果をみて対応することにした。現行の指名停止要領の運用基準によると独禁法違反の場合、排除勧告を経ないで課徴金納付命令が出されたことを知った時に指名停止措置を行うことになっており、この基準に従えば、今回はすぐに指名停止措置が発動されるはずであった。
ところが国交省は、審決の結果をみて発動するかどうか決めるとして、納付命令が出された時点での発動を見送った。その理由としては、審判で争う企業が多いこと、一昨年に公取委から排除勧告が出された企業を指名停止したところ、その後に出された審決が「無罪」となり、「官公庁の入札から締め出されて業績が落ち、民事再生の申請に追い込まれた」として損害賠償を求められたケースがあることからと考えられる。
課徴金納付命令が出された段階で自動的に指名停止するのは、公取委の処分に間違いがないという信頼に基づくとしか考えられないが、審判で違反行為の事実認定を争うわけだから、審決により事実関係が明らかにされた段階で発動されるのが最も適切であろう。
国交省は指名停止措置を先送りしたが、発注機関の中には措置に踏み切ったところもあるようだ。運用基準に従えば当然の対応と言えるが、審判は常に公取委側が勝訴するとは限らないわけだから、やはりシロ、クロが確定するまで、指名停止措置は発動しないように基準を改める必要があるだろう。
(高)
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